前世ハムスターのハム子は藪をつついて蛇を出す
*
公花のお守り袋を強奪し、日暮家を後にした黒尾と樋熊は、夜霧に紛れ、蛇ノ目家への道を急ぎ、移動していた。
人っ子ひとりいない路地の街灯の下で、ふと黒尾が足を止める。
「……? どうしたの、クロ?」
樋熊も立ち止まり、突然に静止してしまった相棒を振り返る。
黒尾は、手の平に乗せたお守り袋をじっと見つめて、なにやら考え込んでいた。
「なぁ、クマ。俺たちが使った銀鱗、あれは本当にいいもんだったよなぁ」
「? う、うん、まぁ……でも、なんだかちょっと怖かった、かな」
自分が自分じゃなくなったみたいで、という樋熊の言葉を軽く流して、黒尾は口元をにやりと歪める。
「蛙婆女様が回収してこいと命じた、この龍鱗。こいつは、銀鱗よりももっとすげぇ霊力を秘めているらしい。これさえあれば、もっと強くなれる。俺だって、神になれる――そう思わないか?」
「え~? 危ないよ……婆様に怒られる」
樋熊はおろおろしながら制止しようとしたが、黒尾の赤い眼にはギラギラと、抑えきれぬ興味と欲望が渦巻いている。
「へへへ。使い方は、同じだろ?」
「ダメだって……あっ!」
公花のお守り袋を強奪し、日暮家を後にした黒尾と樋熊は、夜霧に紛れ、蛇ノ目家への道を急ぎ、移動していた。
人っ子ひとりいない路地の街灯の下で、ふと黒尾が足を止める。
「……? どうしたの、クロ?」
樋熊も立ち止まり、突然に静止してしまった相棒を振り返る。
黒尾は、手の平に乗せたお守り袋をじっと見つめて、なにやら考え込んでいた。
「なぁ、クマ。俺たちが使った銀鱗、あれは本当にいいもんだったよなぁ」
「? う、うん、まぁ……でも、なんだかちょっと怖かった、かな」
自分が自分じゃなくなったみたいで、という樋熊の言葉を軽く流して、黒尾は口元をにやりと歪める。
「蛙婆女様が回収してこいと命じた、この龍鱗。こいつは、銀鱗よりももっとすげぇ霊力を秘めているらしい。これさえあれば、もっと強くなれる。俺だって、神になれる――そう思わないか?」
「え~? 危ないよ……婆様に怒られる」
樋熊はおろおろしながら制止しようとしたが、黒尾の赤い眼にはギラギラと、抑えきれぬ興味と欲望が渦巻いている。
「へへへ。使い方は、同じだろ?」
「ダメだって……あっ!」