没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「フィリシティ嬢。明日にはようやく会えると思っていたが、バルコニーにでてくるとは…。ほんとに君とは突然会うっていう縁があるようだな」

最後の方はくすりと笑い声をまじえながら、フィリシティのほうへ出てきた男性を見て、はっとした。

この人は…。

「あなたは…」

「よかった。覚えててくれたんだね。誰ですかと言われたらめげるところだったよ」

こんなイケメンを忘れるわけはないわとフィリシティは思った。
自殺しにマーシの丘に来たのだと勘違いしたことで一緒に崖の上から叫んで少し話をした男性。

その後送ってもらったそれきりだったので、半ばわすれかけていたけれど、そういえばもう無理やりさせられそうだった結婚話は解決したのだろうか?
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