没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「それは、俺が君を呼んだからだ。レオン・タイラー・ミカリオンだ。これからよろしく。フィリシティ嬢」

そして手を差し出す。

レオン・タイラー・ミカリオンですって?

その名は、この国に住んでいれば、誰もが知っている名だ。

恐れ多くて、自分などが軽々しくお目見えできるはずもない方。
わたしったらマーシの丘であんな馴れ馴れしいことを言ってしまったわ。
どうしましょう。

フィリシティは眼を見開き、目の前に差し出された手をどうしたらいいのかと悩んだあげく、深く深く、カーテシーをとった。
< 103 / 265 >

この作品をシェア

pagetop