没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「王太子殿下であらせられたとは…あのときのご無礼の数々…そして今このような場所でまた…」

まぁわたしったら夜着にガウン!

顔が上げられないでいたら、レオンが言った。

「この手をどうしてくれる?王太子の手をそのままにすることは不敬罪にならないのか?」

不敬罪!

あせったフィリシティは顔をあげると、その手をそっと握るしかない。

「申し訳…」

「謝らなくていい」

レオンがぐいっとその手をひっぱるとフィリシティの身体がぐらりとゆらぎ、レオンのほうへ倒れそうになる。が、そこは体幹でぐっと耐えた。
日常生活で鍛えているだけのことはあるのだ。

レオンはフィリシティがぐっとこらえたのを見て、またくすっと笑った。
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