没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「残念だが、まだ結婚の件は解決してない。だが、なんとかしようと努力中だ。フィリシティ嬢に会う前はそんな努力をしようとすらしなかったのだから俺としては進歩してると言える」

体幹で耐えたものの、手をひっぱられたことでレオンとの距離が近くなったフィリシティは少したじろいだが、その話を聞いて、さらにレオンの顔を見て、マーシの丘のときより自信に満ち溢れているような気がして、安心してほほ笑んだ。

「わたくしなどが恐れ多いことでございますが、解決していないとはいえ、進歩できていると感じていらっしゃるのならよかったと思います」

なんとなく、心が落ち着かれたように見えるわ。

「堅苦しい態度や言葉遣いはいらない。俺とおまえの仲だ。ふつうに話してくれていい」

俺とおまえの仲?
それはどういう…?

レオンの言葉に面食らう。
< 105 / 265 >

この作品をシェア

pagetop