没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
母親が3年前に亡くなるまではロジャーズ伯爵家はそれなりに潤っていたのだが、母親が病で亡くなってからというもの、父親が暴走し始めた。

今思えば、母親が人のよい父親の手綱をとっていたのだとわかる。

父親はもともと人がいいだけの人間で、自分の両親が厳しいことに辟易していた母はそんなやさしい父と恋愛し、半ば駆け落ち同然で格下の伯爵家の父のもとへ嫁いだのだという。

それでもやさしいだけでは生活できないことをわかっていたのかそれともやり手の両親の血を引いていたのか、母はうまく父を懐柔していた。
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