没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
確かに母はとてつもなく憎んでいた。
それはなぜなのだろう。

「マリーナ様は小さいころから淑女然としたレディでいらっしゃいましたし、お美しかったですから成長するにつれて求婚者も増えてまいりましたわ。それはそれは、侯爵様ご夫婦にとってもご自慢の娘様でございました」

やはり最初から両親との関係性が悪かったわけではないのね…。

「マリーナ様が16歳になられ、社交界デビューをされてから少ししてからのことでございます。クランドン侯爵家は世間で知られているとおり、令息様ではなく令嬢様が跡継ぎとなられます。一人娘であったマリーナ様も跡継ぎ。16歳という成人を迎えると、クランドン侯爵家独自の秘密の部屋で跡継ぎに関するご教育をされるのです」

「秘密の部屋?」
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