没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
侯爵家が用意したその落ち着いたエメラルド色のドレスはとても上品でフィリシティに似合っていた。
髪はあえて全部アップにせず、サイドだけ三つ編みにして編み込み、その髪を後ろでくるくるとまとめてある。
肩にかかる栗色の髪が美しい。

男たちがみなフィリシティに称賛のまなざしを送っているのを見て、やきもきしてしまう。
ここでこんな女とダンスをしている場合ではないのに、本来なら横でダンスしているローマンにこんな女押し付けて…。

くそっ。ローマンのやつ。幸せ者め。

ようやくイブリンとのダンスが終わり、次に待っている令嬢の手をとった。
もうイブリンとはファーストダンスを踊ったのだ。これ以上関わるつもりはない。
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