没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「わたしは嬉しいのじゃ。若い人達がミカリオン王国を建て直ししてくれるのを見ているのがな。フィリシティ。これからこのよいぼれじいが言うことをきくのじゃ。そなたはマリーナに似てまっすぐじゃ。曲がったことが許せぬ性格がそっくりじゃ。そのせいであの子は出奔した。母親が許せなかったのだろう。だが、わたしは所詮侯爵家の婿。何も口出しはできぬ。ルイーズのいうなりにしか生きられぬ人間じゃからな」

「そんな…」

「クランドン侯爵家とはそういう家じゃ。男性の発言権はないに等しい。殿下」

老侯爵はレオンのほうへゆっくりと視線を向けた。
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