没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「待つのだ。フィリシティ。最後まで聞くのじゃ」

老侯爵にたしなめられ、フィリシティは幾分か落ち着きを取り戻す。

「そしてそれ以外にも、この秘密の部屋にはさらに秘密があるのです。それをわたしは知らない。だが、あの部屋に入れるクランドンの後継者はその内容を知っている。そしてその内容をわたしたちは教えてはもらえない。ルイーズとマリーナがあの部屋にはじめて入った時から、あの2人は諍いばかりをするようになりました。常に喧嘩ばかりで気が気ではなかった。そしてあるときわたしにマリーナが言いました。『親友の好きな方のもとへ嫁げと言われて誰が納得するというのです。そんな呪いの宝石なくなればいいわ!お父様はどう思う?』そのときわたしは躊躇なく言った。『ルイーズの言うことをきけ』と。そして次の日、マリーナは出奔しました」

「まぁ・・なんてこと…」
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