没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました


「殿下。娘が今日はきておりましてな」

またか。
公務の場に連れてくるなと言ってあるのに。

「生憎だが今日はシュトーの街の視察が入っているゆえ…」

「あらぁ。殿下ではございませんか?」

遅かったか。

ニマニマと笑っているリッチモンドを視界の隅に感じ、いらいらしながらこのピンクのクネクネした髪をバッサリ切ってやったらこの親子はどうするだろうかと思った。

「お茶を仕入れましたのよ。珍しいもので…」

「悪いが急ぐのだ。失礼する」

スタスタ歩いていると横槍を入れるのはローマンだ。
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