没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「ひと月と言わずずっといてもいいのよ。そうねぇ。もう18歳になるのだからデビュタントは今更だけれど、わたくしがなんとか…して…。ふむ…」

何やらブツブツと唱えている叔母を尻目に、フィリシティはメイドにお願いして部屋に荷物を運んでもらった。

ルビーは抜かりなく今着ている召し物のスカートの中のパニエに縫い込んである。
女の一人旅である。治安のよい街を選んで王都まで進んでは来たが何があるかわからない。荷物として持つよりは断然安全だと踏んだのだ。
ドレスは既婚者が着ているような落ち着いたものだったし、特には何事もなく旅を終える事ができた。
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