没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「さ、はやく」

今御者のなりをしているレオンは手袋をしているわけもなく、フィリシティも素手だ。

す、素手で握るの?

躊躇していたらレオンがガシッと手を掴んだ。

「さ、ドアノブを開けてくれ」

恐る恐るドアノブを回すとギイイ…と回り、扉が開いていく。

中は靄がかかっているが、レオンの手を握ったまま、2人で足を踏み入れると…

……

中に足を踏み入れた時に、横を見るとレオンがいた。

「殿下!入れましたわ!」

思わず大きな声をあげる。
 
「ああ。ほんとだ。やはり」
< 215 / 265 >

この作品をシェア

pagetop