没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
フィリシティを見ると、俯いている。
いや…なのだろうか?
そりゃそうだろう。
自分が、自分こそがこの国を大国にするために生まれてきた国母であると言われたら…
俺と結婚しなければならないと言われたら…
好きでもない男と…?

「フィリシティ。俺は…」

「あの…わたし…殿下は…あの…」

そんなに嫌がらなくても…

しどろもどろになってるフィリシティが本当に自分を嫌がってるのだと思うと…ため息をつきたくなった。

「フィリシティは嫌なのか?」

「え?」

フィリシティが顔を上げ、レオンを見つめた。
< 225 / 265 >

この作品をシェア

pagetop