没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました


「フィリシティ」

レオンはあまりの美しさにどきりとし、そしてこのまま夜会になど出ずに閉じ込めておきたい衝動に駆られた。

「レオン殿下。今宵はよろしくお願いいたします」

俺が送ったドレスと宝石を身につけてきてくれた大好きな…女性。

ああ、やっぱり諦められない。
絶対に…妃にしたい。

一方、フィリシティは普段は御者の出立でしかほとんど会っていなかったレオンが、ミカリオンの正装を着て立っているのを見てクラクラした。

いつもは無造作にしている髪は綺麗に後ろに撫で付けられていて、フィリシティのドレスと合わせてあるのか、エメラルドと白を使った正装だ。クラバットの上にあしらった留め具の宝石とカフスボタンもフィリシティと同じルビーにしてあった。

どう見ても合わせてると思われてしまうわ…

どうしよう…
いいのかしら?
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