没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「フィリシティ。夜会前に、お前に会わせたい人がいるんだ。こちらへ」

それはもしかして…

ついて行くとやはりそうだった。

「王国の太陽と月にご挨拶申し上げます」

レオンと並んで挨拶したフィリシティを見て、シンシアは思わず扇を落とした。

「マ、マリーナ?」

国王が驚き涙ぐむ妻を愛おしそうに見つめている。

「マリーナは我が母にございます。3年前にこの世を去りました。」

「ええ。ええ。最後にいただいた手紙を今でも肌身離さず持っているの。ほら」

シンシアが懐からヨタヨタになってしまっている封筒を取り出した。

まぁ。
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