没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「もしかしたら最初で最後の夜会になるかもしれないじゃない。だから気合を入れているのよ。気にしないで」

そう言われてしまうと断ることも憚られるため、やはり着せ替え人形状態になるしかなく…

散々迷った上でようやくドレスが決まり、「なんとか1週間でサイズ調整を行い、お持ちします」と張り切って針子たちは帰っていった。


「母さん。フィリシティなら何着たって似合うんだから、そんなに長い時間拘束しちゃかわいそうだろ」

その日の晩餐。くたくたになっているのが態度でばれてしまったのか、ダニエルが憐れむ表情でフィリシティを見ている。

「あら、あなたで着せ替えするわけにはいかないのだから。やっと娘ができた気分なのよ。いいじゃない」

「けど、フィリシティだってどこか行きたいところがあるかもしれないだろ?」
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