没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「フィリシティ。そろそろ…入場だが、覚悟はできてるか?」

今日王太子がパートナーを伴って会場入りするらしいと貴族たちの中で噂が広がるようローマンに情報操作を頼んでいる。

レオンがパートナーを伴うことは初めてなので、それは妃候補であることを示す。
ましてやレオンの23歳という年齢を考えると、ほとんど婚約者と言っても過言ではないほどなのだ。
フィリシティにはそこまで説明していないが、拒否されなかったということは…期待していいということかもしれない。

「はい。できていますわ。本日は…よろしくお願いいたします」

扉の前でフィリシティが、ギュッとレオンの腕を握る手に力を入れるのがわかった。

「さぁ。では参ろう」

そうして…扉は開かれた。
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