没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました


案の定と言ってはなんだけれど、会場では称賛より妬みの声の方が大きかった。

「あの方、先日はデニーズ卿といらしたではありませんか!」

「デニーズ卿はその後もクランドン嬢にご執心だったと聞きますわ」

「それに最初はエドワーズ卿といらっしゃったのよ」

「ただの男好きじゃない。ちょっと綺麗だからって何なの。あの人」

「だいたい今までロジャース伯爵家の領地から出たこともなかったそうよ」

「まあ。田舎者じゃない」

「それを偉そうに。殿下の隣になんて…いれるようなお立場じゃないのにね」

コソコソ囁かれるそれは、フィリシティには予想通りではあったが、もともと社交界に慣れていなかったこともあり、少々こたえる会話だった。
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