没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
まっすぐで曲がったことが嫌いなタイプなので、こういう貴族の駆け引きは慣れていない。

特に社交界に顔を売りたいタイプでもなかったし、普通の令嬢としてここにいたらそっと目立たないようにしていただろう。
なのに、今自分の置かれているこの状況は嫌でも目立ってしまう。

はぁー…
なんか…

どうしたらいいのかな。


レオンのリードでファーストダンスが始まった。

「フィリシティ。嫌な思いをしただろう?」

ダンスしながらレオンがコソッと耳元で囁く。

「貴族はこうやって好きなことを言う。それも含めて…俺はお前に求婚している。俺の伴侶になる者はこういうことにも慣れないと…つとまらないからな。それでも俺はお前に求婚するからな。諦めはしないよ」

「殿下…」
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