没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
デニーズ卿のときはフィルはこんな顔じゃなかったのにな…
と…

けど…フィルが幸せなら…それでいい。

「レオン殿下とフィル。似合ってたよ。フィルなら、ぴったりだ。レオン殿下のとなりの席に」

なんでこんなにしっくりくるんだろう。
フィルの隣にいるのが僕じゃなくてレオン殿下を想像しても、勝てる気がしない。
2人が並んでる方がピッタリに思える。

「ハーヴィ」

「だから、戻りな。レオン殿下が探してらっしゃったよ」

ハーヴィはフィリシティに手を差し出した。
おそらくこれが最後のエスコート。

ありがとう…フィル。
僕の初恋…。

フィリシティの華奢な手をそっと握り、ハーヴィは自分の積年の思いを噛み締めた。

レオン殿下…フィルをどうか幸せにしてあげてください。

フィリシティを探していたレオンへ、フィリシティを送り届けたハーヴィは清々しく言った。

「レオン殿下。婚約者のフィリシティ嬢が道に迷っておられましたのでお連れいたしました」

どよっとどよめく会場を、ハーヴィは吹っ切れた顔をして後にした。

今度、同僚がやってるコンパに行ってみようかなと思いながら…。
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