没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「婚約者ですって?」

「やっぱりそうなの?」

会場の声がどよめく中、フィリシティは、正面からレオンに向き直った。

「殿下。わたくしこと、フィリシティ・アリア・クランドンは、レオン殿下の求婚を…お受けいたしたく…存じます」

そして、フィリシティは深々と淑女の礼をとったのだった。

一瞬…レオンは固まっていたが、それはほんの一瞬のことで、すぐにフィリシティの前に跪き、手を差し出した。

「フィリシティ嬢。求婚を受け入れてくれてありがとう。わたしはキミを王太子妃として迎える。誓おう。今後キミだけを…愛すると」

フィリシティは顔を上げた。
そして、レオンの手を取った。

レオンはそのままフィリシティの手の甲に口付けた。

「わたくしもレオン殿下を…生涯…愛することを誓います」
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