没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「ほんとにいいんだな」

「ええ」

思わず
クスッとフィリシティは笑ってしまった。

「なんだよ。フィル」

レオンがムスッとして横を向く。

「いいえ。レオン様。今日会ってから何度目の『いいんだな』なのかと思いまして…」

いいんだなも何も、もう2人が結婚することはミカリオン王国の王族から平民まで、皆が知っていることだ。

「いまさら、覆せるわけありませんのに…」

「たがらそうじゃなくて、お前の気持ちの問題だろ?」

「本当のこと言いますと…」

フィリシティは少し意地悪しようと思いついた。

「わたしも悩みましたわ。昨日の夜になって少しマリッジブルーと言いますか…ひとりになると涙が…」

思い切り眉尻を下げていうとレオンが焦り出した。
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