没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「殿下!もうっ!」

それでもまだ躊躇していたレオンの手からフィリシティはついに緑の魔石を奪うと、「おいっ!」というレオンの静止も効かず、魔石をかちりとその台座に埋め込んだのだ。

と…

パァッーーーーーッ

眩い緑の光が魔石を包み込んだ。

フィリシティは気がつけばレオンの手をギュッと握っていた。

「フィル…お前…」

「待ってられませんわ。レオン様」

「ああ」

「私の気持ちは変わらないと言ってますのに。優柔不断すぎます。国を治めるのですから、決断力を持ってくださいませね」


「それより、フィル。木の根元を見てみろ。キュジュダリアンが…」

レオンが驚いたように本棚の向こうを指差した。

「ここは危険だ。出るぞ!」
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