没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
番外編〜老侯爵の独り言〜
「おじい様。僕の勝ちです」

得意気に胸を張る孫を見て、大きくなったものだと内心ほくそ笑んだ。

最初に会ってかもう3年になる。
最近はもうチェスも負けることの方が多くなった。
もう教えるべきことは教えた。
いつ迎えがきても大丈夫だろう。

チェスの駒を自在に操れないとグランドンの頭首は務まらない。グランドンは裏社会と王家をつなぐ影のルートを司る家だ。
裏社会のと駆け引きはチェスの駆け引きに似ている。
自分も最初グランドンへ婿入りした時、義父からチェスを仕込まれたものだ。

それから何十年もかけてようやく一人前に操れるようになったというのにハリーは3年前からすでにチェスの才能があった。
グランドンの真の後継者はハリーなのだ。

魔女の呪いが解けた今、グランドンの存在意義は裏社会との取引のみなのだから。
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