没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
伯爵は自分に言わせれば表裏のない人の良すぎるそう頭の良くない男だが、マリーナの気持ちもわからなくはない。
相当グランドンのしがらみに辟易していたのだろう。
裏表のないこの男に惹かれたのもわかる。
わかるが…
しかし…

「お義父上、今日はうちの有機栽培の栄養たっぷりなトマトを持参しましたぞ。たっぷりありますから毎日ひとつづつ召し上がってください」

どうやら健康野菜づくりに目覚めたらしく、毎月のように有機野菜を持ってやってくるのだ。

領地の経営が軌道に乗ったところで王家から派遣されていた補佐官は一旦戻されたが、その後頭のキレる補佐官をデニーズの紹介で改めて雇い、自分の騙されやすさにやっと気づいたこの男は領地を有機野菜農家に変えてしまった。『コルタナの涙』が戻ったことでミカリオンの民は心身の健康を取り戻し、世間は今や健康ブーム。この男の野菜は飛ぶように売れているという。
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