没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
その後は手紙は頻繁にくれるようになり、その前の1年間に殆ど音信不通だったことを思うと、会うことはなくても身近に感じていたのだが…
今目の前に現れた恐ろしく洗練された都会の貴公子はほんとうにハーヴィなのだろうか?
昔から整った顔立ちをしていたことは確かだけれど、お互い田舎者だったし何より兄妹みたいなものだったから意識をしたことはなかったけれど…。

クリクリとカールした濃いブロンドと弟のハリーと同じ深いエメラルド色の瞳はそのままだけれど、彫深く鼻筋はとおっており、きりっとした口許に小麦色のなめらかな素肌。背は見上げるほど高く、騎士をしているからか体躯は細いけれども姿勢よくがっしりしており、着ている衣服は今の流行を取り入れたラフなシャツにくたっとしたパンツの普段着だ。

道行く人々が思わず振り返るくらいイケメンの貴公子はあまりに今のフィリシティとは釣り合わなかった。
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