没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「直接は知らないけれど…そういうことに詳しい人なら知ってる。その人に会えればいいんだけど…」

「どうにかして会えないかしら?」

「うーん…そうだね。その人は結構忙しい人だから、フィルが王宮に来るとかじゃないと難しいかな…」

ハーヴィは自分の仕事一筋堅物上司を思い浮かべていた。
何分、仕事好きで近衛隊の詰め所にほぼ泊まり込んでるような男だ。
なかなか外に出てまで会おうとはしてくれないだろう。

けれど、フィルが王宮に来るなんてこと…

「行く。行くわ。来週の夜会に行くのよ。わたし」

「え?」

ハーヴィは思わず目を見開いた。

フィルが夜会?

「誰…と?」

「ハンナおばさまが強引にね。娘が欲しかったと言って、いろいろ世話を焼いてくださるの。だからおばさまと行く事になると思うわ」

なんだ。誰か男がエスコートするわけじゃなかったのか…。
ほっと胸をなでおろしつつ、ハーヴィはすかさず誘いをかけた。

「ならば。問題ないね。僕がエスコートするよ」

「え?」
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