没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
そうね。昔はよくいっしょに野原を駆け回っていたもの。
それと同じよね。

にっこり笑って、ハーヴィの手をとると、フィリシティはスイスイとハーヴィとともに踊りはじめる。

決してうまくはなかったが、それでもちゃんとリズムは取れていたし、へたくそというほどではないはずだとフィリシティは思う。
まぁいいやと思った。
誰もわたしのことなど見ていないのだし。

実際のところは穴が開くほどみなが2人を見つめていたのだが、そんなことはフィリシティにはわかってはいなかったようだ。

まさか自分が誰かに注目されることがあろうとはみじんも思っていなかったのだ。
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