没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「だって、令嬢たちがずっと注目しているわ。きっとハーヴィがわたしみたいな女性をエスコートしていることにびっくりしているのね。みんな」

「は?」

いつもながらフィリシティの自己評価の低さにはびっくりする。
自分が美しいとは全然思っていないんだな…。

「キミも注目されてるってわかってる?」

「え?ありえないわ」

「注目してるさ。僕の同僚はみな質問攻めさ。どこの令嬢連れて来たのかって。俺も踊りたいとか。挙句の果てに…恋人かとか…」

最後の方は小さな声になる。
恋心を抱いているのは自分だけだととっくの昔に気づいている。
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