没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
6.レオン・タイラー・ミカリオン
「殿下。至急の謁見の申し込みがきておりますが?」

「誰だ?」

ミカリオン王国、王太子執務室。限られた人間しか入れないこの空間で、大量の書類に決裁印を押していたところだった『レオン・タイラー・ミカリオン』はその海のように碧い瞳をあげた。

プラチナブロンドのサラサラの髪に碧眼はアーモンド形でふさふさと同じプラチナブランド色のまつげに覆われている。すっと通った鼻梁と、形のよい輪郭に唇。そして滑らかに白い素肌。
全てが完璧に整った顔立ちと、そして執務机にかけていても机の下に収まりきらない程の長い脚は、立ち上がれば人を見下げるほどの上背があることを示している。

「キャベンディッシュ卿です」

「少し待たせておいてくれ。これを片付けてから行く」

「はい」

「ローマン。この間の調査はどうなってる?」

「かの令嬢のことですか?」

「そうだ」

「ハーヴィ卿とはただの幼馴染のようですね。どうやら、エドワーズ伯爵と夫人が反対しているようです」

「そうか…引き続き調査を頼む」
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