没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
面倒な男だ。
どうせ何もできないと俺を見下しているくせに。

絶対に娘を娶ることなどしないぞ。
阻止してやる。

今まで、もうどうにでもなれと思っていた。
どうせ決められた人生だからと無気力だった。

だが、彼女に会って変わった。

彼女が欲しくなった。
とても会いたくなった。

それは流されて生きてきた自分がはじめて流れに逆ってでも手に入れたいと思った、強い意志だった。

「リッチモンドの娘は娶らない。何があってもだ」

「殿下…」

レオンはその後1時間ほどかけて書類をすべて処理し、ようやく謁見室へ入っていった。
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