没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
7.売られた首飾り
サイラスは弟のマーキュリーと同じ赤褐色の髪にエメラルドの瞳を持っていたが、体躯は細く小さく、顔立ちもマーキュリーが精悍なのに比べ、柔和で色も白く、到底兄弟には見えなかった。
常にまわりに目を配り、商売事を生業としている者特有の腰の低さがあった。
「名を…」
「はい。お初にお目にかかります。王都を拠点に商売をしておりますキャベンディッシュ商会が当主『サイラス・キャベンディッシュ』と申します。現国王陛下には父のマークが長年お世話になっており、わたくしも拝謁させていただいたことがございます。その父も隠居し、わたくしが当主として引き継いでおりますので、これからはわたくしサイラスをお見知りおきいただければ幸いにございます」
頭を深く下げながら落ち着いて口上を述べていく。
常にまわりに目を配り、商売事を生業としている者特有の腰の低さがあった。
「名を…」
「はい。お初にお目にかかります。王都を拠点に商売をしておりますキャベンディッシュ商会が当主『サイラス・キャベンディッシュ』と申します。現国王陛下には父のマークが長年お世話になっており、わたくしも拝謁させていただいたことがございます。その父も隠居し、わたくしが当主として引き継いでおりますので、これからはわたくしサイラスをお見知りおきいただければ幸いにございます」
頭を深く下げながら落ち着いて口上を述べていく。