没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「うむ。父はマークを信頼していた。今よりはそなたへの信頼を置くとしよう」

「恐れ入ります。キャベンディッシュはミカリオン王家とともにあります。商人として生涯お仕えいたします所存でございます」

さらに頭を下げる。

「うむ。して、危急の用だと聞いたが…」

人払いはしてある。
サイラスの顔を見ればわかる。
何か非常に重要な案件なのだ。

「はい」

サイラスはおもむろに手持ちのカバンから布袋を取り出し、大事そうに中身をあけると、さらに中から布袋を取り出した。

そしてさらに…

厳重に管理されているものらしい。幾重かの布袋をへたあと、サイラスは中から古びた宝石箱を取り出した。
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