没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「殿下にこちらの品をご覧いただきたく参上いたした次第にございます」

サイラスはレオンのほうへ向け、その古びた宝石箱をパカリと開けた。

レオンはごくりと唾を飲み込みたいのをこらえつつ目を細め、開かれた宝石箱の中に鎮座するその首飾りを目に入れた。

「ルビーか?」

中に鎮座するのは、一目みて時代物とわかる重厚な首飾り。
ゴールドの台座の上に鎮座するその大粒のルビーと思わしき深紅の宝石は誇り高く輝いており、真ん中の赤い宝石のまわりの台座の上には小さなダイヤが細かく敷き詰められている。

「わたくしも最初はそう思いました。ですが…信頼できる鑑定士に鑑定させましたが、この宝石がルビーではないとの報告書がきたのです」

「ルビーではない…?」
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