没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
そしてすぐさま自分も女のとなりに立つと、叫んでいた。

「俺は置きものじゃないぞー。人間なんだぞー。ちゃんと感情もあるし、嫌なものは嫌なんだーーーー!結婚なんか絶対しないぞー!!!!」

そして叫び終えたら、腹の底から笑い声が湧いてきた。

「ふっ‥‥ふふふ…  はっ…ははっ…はははははは」

おかしくて腹を抱えて笑う。

「サイコーだな。これ。一気に…ストレスぶっとんだ」

「でしょう?」

女が横で満足そうにこちらを見ている。

正気の沙汰じゃない。
そもそも23歳にもなった大の大人のやる事じゃない。

けど、しめりきった先ほどまでの心の奥が少し明るくなったような気がした。

反抗してみるかな。
嫌なもんは嫌だと言ってやるか。

「ちょっと勇気が湧いてきたよ。少しだけ悪い子になってやる気になった」

「そうですか。それはよかった」

そのとき、かすかに遠くで

「殿下~」

という声が耳をかすめた。

まずい。

「もっと一緒にいたいが、あいにく時間がせまっている。令嬢。送ろう。お前の住まいはどこだ?」
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