没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
「それがどうやら、フィリシティ嬢が持ち込んだものらしい」

「え?」

そこまではさすがのローマンも予想できなかったようだ。
かなり驚き、目をさらに見開いている。

「もしや、クランドン侯爵家では?」

「ああ。俺もそう思っていたところだ」

クランドン侯爵家はもともとは初代の頃の王家の血をひく一族で、三大公爵家が国の中枢を表立って担っているとすれば、クランドン侯爵家は国の裏の社会を牛耳っており、ミカリオン王家と裏社会の接触をはかったりする便宜をしてくれていた。もちろん表立っては公表はされていないので、みんなふつうの侯爵家だと思っているのだが…。

フィリシティの母親がクランドンの出だということは調査済みで、3年前に亡くなっている。
その古きクランドン侯爵家もフィリシティの母親が勘当されているせいで今の侯爵を最後に途絶えることになるのだが…。
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