没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
いたって普通の女性だな。

あのレオン殿下の心をつかんだ女性だ。いったいどんな女性なのかと期待していた。
夜会で華やかに着飾っているのを見たが、遠目から見ただけなため、顔はほとんどわからなかったのだが、みながあれだけ騒いでいるのだからさぞ美しい女性なのだろうと思っていた。そして改めて目の前にして…まぁ確かに美人だとは思う。だがやはりレオン殿下の横に置くには…なんというか華がなさすぎるし、なんといっても普通すぎる。殿下のとなりはもっと華やかな美女がいい。

「この度は遠方からお越しのところこのようなおかまいしかできませず、申し訳ございません。お茶をお淹れいたしますのでどうぞおくつろぎくださいませ」

堅い表情で値踏みするようにフィリシティを観察していたローマンだったが、淑女然と美しいカーテシーで挨拶するフィリシティを見て少し眉をあげた。
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