没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
ほう。挨拶は見事だな。

おそらく侍女は殆ど雇っていないのだろう。
挨拶のあと、フィリシティが自らお茶を淹れはじめた。

なかなか上手にお茶をいれるな。

「どうぞ」

少し期待して口に含んでみたところ、淹れられたお茶は香り高く、思いのほかまろやかでおいしかった。

これは…。

「これはどちらの茶葉を?」

「ナーサリーのお茶です。母が精通しておりましたので今でもナーサリーから仕入れております」

一時期は中断していたが、借金を返済して再び仕入れはじめたところだった。
お客様によい茶葉をお出しできてよかったとフィリシティはほっと胸をなでおろす。
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