没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
初日にここに連れてこられて、何の説明もなく、

「また連絡する」

と言ったまま何の音沙汰もないとは…。あきれるわ。ほんとに。

そういえば…。

この部屋にバルコニーがあったこを思い出す。

初日にこの部屋に入った時に、バルコニーにも出ないようにと言われたが、さすがに外の空気にあたりたくてうずうずがとまらなくなった。
もともと動きたいたちだ。動かないとおかしくなるのだ。

今なら出てもバレないわよね。
だって、もう夜半を過ぎているもの。
誰も外を通る人なんていないはず。

そう勝手に判断すると、そーっとバルコニーに続く大きなガラス戸をあけた。
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