没落寸前の伯爵令嬢ですが王太子を助けてから雲行きがあやしくなってきました
とたんに、生暖かい春の空気が身体全体をつつみこむ。

そしてその空気にすごく心地よい安堵の感情を抱いた。

そう。これこれ。外の空気。大好き。

さすがに夜着のままではまずいだろうと思い、上にここで支給されたガウンを羽織るとバルコニーの外枠のところまで出る。

下を見たが、人はさすがにいない。
こんな王城の奥のほうには昼間でも人はあまりこないだろう。
ぐるりと周りを見渡し、誰もいないことを確認すると、胸をはって思い切り深呼吸してみた。
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