夏目くん、一緒にカーテンを開けてくれませんか?
「菊野、先生とはそんな風に話すんだな」

「それは・・・えっと・・・」

「すまんな、夏目。菊野は久しぶりに他の生徒と話して緊張してるみたいだ。鍛《きた》えてやってくれ」

「先生!?」

「先生は、今から職員室に用事がある。夏目、菊野を頼んだ」

そう言って、森崎先生が夏目くんの肩を軽く叩いて、保健室を出ていく。

せ、先生の馬鹿!

本当に無理な時は助けてくれるって言ったくせに!

まさに今がその時だよ!

私は心ではパニックを起こしながら、身体は小さく縮こまって固まったままだった。

そんな私に夏目くんがそっと近づく。
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