夏目くん、一緒にカーテンを開けてくれませんか?
どうしよう、相手を不快な気持ちにさせてしまった。

嫌われる・・・だって、家族とか森崎先生とか本当に私のことを大事にしてくれる人じゃなかったら、不快な気持ちにさせたら嫌われるに決まってる・・・!

怖い。

自分の手が震えているのが見えた。

ぎゅっと、震えを抑えるように両手で強く握り拳を作る。

その時、夏目くんが私の手をそっと包むように握った。

「ごめん、急でびっくりしたよね。怖がらなくても大丈夫。・・・ねぇ、菊野。教えて。何が怖いの?」

優しい夏目くんの手の温もりに私は言葉を絞り出した。
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