夏目くん、一緒にカーテンを開けてくれませんか?
「菊野、俺さ、ずーっと菊野が優しすぎて心配してたんだ」

夏目くんがそう言って、私の手をもう一度握る。


「入学してからも、周りの人のために一生懸命動いて。ずっと笑顔でみんなに好かれてた」

「でもそんな菊野が保健室登校してるって知った時、少しだけ安心したんだ」


「なんで・・・?」


「周りにだけ優しさを振りまいてたら、自分が疲れるから!」


夏目くんが私の手の震えが止まったのを見て、手を離す。


「だからさ、ゆっくりでいいんだよ、菊野。他人にも自分にも程よく優しくして、「嫌われてもいい」って思えるまで、保健室でゆっくりしたらいい。それで、暇だったらたまに俺と話してよ」


一度少し止まっていた涙が、また溢れ出す。
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