ハイドアンドシーク
その嫌味にも聞こえる言い方にびっくりする。
え、東雲さんってこんな感じだっけ。
数年ぶりの再会は思っていたよりもずっと、さらりとしていた。
むしろなんだかギクシャクした空気を感じ取りながらも、言葉を返す。
「もちろん、ここが男子校だってことは承知の上で編入しましたよ」
まさか東雲さんがいるとは思わなかったけど。
しかも学校のトップ的な立ち位置にいるし。
「どう根回しすればこんな事出来んだよ」
「理事長が遠い親戚で、その、事情を話したら色々と融通を利かせてくれたんです」
「事情って」とすぐさま東雲さんが訊いてくる。
「それは……他人に話すようなことじゃないから」
「ふーん。他人、ね」
さすがに向こうもそれ以上は踏み込んでこなかった。