ハイドアンドシーク
「……好きにすれば」
まるで他人事な言葉とは裏腹に。
頭の上にあった掌がするりと後頭部に降りてきた。
向こうも離す気なんてさらさらなかったことにわたしは思わず笑ってしまって、笑われた理由に気づいた東雲さんが軽く頭を小突いてきて。
それから、そうしているうちに。
なんだか胸がぎゅうってなった。
くるしいのにちっとも苦しくない。
この感情の正体は──今は、考えたくなかった。
「……わっ、東雲さん見て!月すんごい綺麗!」
「近くのやたら明るい星にしか目いかねーわ」
梅雨も嵐も過ぎ去った夜空で寄り添う月と星は、それぞれの良さを打ち消すことなく存在している。
ようやく、あの日のかくれんぼが終わった気がした。