ハイドアンドシーク


──こうやってまた高校に通えるなんて夢みたい

──男子校でやっていけてんの、お前くらいだろ

──楽しいよ。わたし、冥皇に来れてよかったなぁ



心底うれしそうに話すれんに、前の学校のことは訊かなかった。

誰とでもすぐに打ち解けるこいつのことだ。

そこでも上手くやっていたんだろう。


れんはたびたび、俺には人を引き寄せる力があるのだと宣っていた。

しかし、本当に人を惹きつけるのはあいつの方だ。


俺からすれば、れんの方がよっぽど人に好かれる才能をもっていた。

昔から、それは変わってない。



統理さん、と呼ばれて意識を向ける。

テレビの画面にはれんの使うキャラと"WIN"という文字がでかでかと映し出されていた。



「統理さん、こいつ、絶対ゲーム未経験じゃないっすよ。嘘ついてる」

「ひひ、嘘じゃないもーん。センスだもーん」

「腹ッ立つわあ~~~~も"っかい!!」


一緒にどうかと誘われたが、軽く手を上げて近くの壁にもたれ掛かる。


人懐っこい幼なじみが、こうして冥皇に馴染んできていることは何ら問題ない。

せっかく楽しんでいるここでの生活を邪魔するつもりもない。


それでも、俺の前ではしない顔で他の奴に笑いかけていることだけは、なぜだか気にくわなかった。


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