ハイドアンドシーク




──最悪だ。


また、急なヒートがわたしを襲った。

理由なんて考えてもわからないし、わかったところでどうしようもない。


それが収まるまでの2時間程度、部屋に引きこもって時が経つのをじっと待つしかできないことも。

発散することのできない熱に耐えることも。

まだ、大丈夫。まだ耐えられる。


本当に、ほんっとうに気は進まないけれど。

そういうのは最悪、自分でなんとかできるから。



だけどわたしは東雲さんのことに関しては過敏になる性分らしい。


──東雲さんがわたしを避けるようになった。


ヒートになったときだけだから、嫌われたわけじゃなくて気遣われているんだと思う。

だけど、迷惑をかけていることは明らかだった。


そりゃあそうだよね。

今じゃすっかりわたし専用の避難所みたくなってるけど、ここは東雲さんの部屋でもあるんだし。



「っ、ん……うぅ」


普通に息をしているだけなのに。

自分から漏れる熱まじりの吐息に、嫌気が差す。


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