ハイドアンドシーク
*
──最悪だ。
また、急なヒートがわたしを襲った。
理由なんて考えてもわからないし、わかったところでどうしようもない。
それが収まるまでの2時間程度、部屋に引きこもって時が経つのをじっと待つしかできないことも。
発散することのできない熱に耐えることも。
まだ、大丈夫。まだ耐えられる。
本当に、ほんっとうに気は進まないけれど。
そういうのは最悪、自分でなんとかできるから。
だけどわたしは東雲さんのことに関しては過敏になる性分らしい。
──東雲さんがわたしを避けるようになった。
ヒートになったときだけだから、嫌われたわけじゃなくて気遣われているんだと思う。
だけど、迷惑をかけていることは明らかだった。
そりゃあそうだよね。
今じゃすっかりわたし専用の避難所みたくなってるけど、ここは東雲さんの部屋でもあるんだし。
「っ、ん……うぅ」
普通に息をしているだけなのに。
自分から漏れる熱まじりの吐息に、嫌気が差す。