ハイドアンドシーク
冥皇のもう一人の統率者に出会ったのは、それから数日後のこと。
東棟と西棟のちょうど中間にある職員室に頼まれていたものを運び、教室に帰ろうとしたときだった。
「っ、え……!?」
後ろからいきなり腕を引かれた。
遠慮なんてない強い力に驚いたのも一瞬、その人物に頭からもたれ掛かる形になってしまったとき。
ぞくりと全身の肌が粟立った。
とっさに頸を残った手で隠したのは本能か。
「ふうん、やっぱりオメガだったんだ」
「……」
「なんでって思ってるでしょ。教えてあげようか」
「その前にからだ、離してください」
自分から出た声は思いのほかしっかりしていた。
後ろにいる相手の顔もわからない、そんな状況でも冷静でいられる自分を褒めてあげたいくらいだ。
それでも掴まれている腕だけは振りほどけそうで、解けない。
苦戦していると、すぐ頭上で男が笑った。