ハイドアンドシーク


すると本気で驚いたように目を見張られ、すぐに心の底から蔑むような表情をされた。


「へえ。オメガは存在してるだけで迷惑だとはお思いでない、と」


……この男。

唇をぎゅっと結んでおかないと、いまにも口から飛び出してしまいそうだった。


そんなの何十回も何百回も考えたことはある、って。



「虚しいね、悲しいね、図々しいねえ、誰かに助けてもらってばかりの人生なんて。僕なら恥ずかしくて生きてられないかも」


哀れむように言われて、真っ先に浮かんだのはやっぱり東雲さんだった。

さっきよりもずっと、鮮明に。



「嫌いなんだよね。甘えてばかりで一人では生きていけない、君らみたいな弱者がさぁ」

「……そんなの、オメガだけじゃ、」


自分の言った言葉がまるで他人が発した言葉のように思えた。

胸に刺されたナイフを少しずつ押し込まれているかのように、ずきずきと心臓が激しく脈打っていく。



人は一人じゃ生きていけない。


……生きて、いけないんじゃないの?




、違うの?


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